1 房総早春賦　秋と春のあいだ　小湊鉄道　その2 3

「下り一番列車　朝もやを切り裂いて」
上総鶴舞〜上総久保　Canon EOS1N HS　EF 17〜35mm f2.8 L USM　RDP3　2004.2.21

２月下旬、再び小湊線へ。上総鶴舞駅近くの田んぼへ行ってみると、澄み切った上空とは対照的に、地表には薄いもやが立ちこめていた。朝の淡い太陽が鎮守の森の向こう側から顔を見せはじめた頃、下りの一番列車が轟音とともに駆け抜けていった。

「ハツラツ駅員さん」
上総牛久　Canon EOS1N HS　EF 400mm f2.8 L2 USM　RDP3　2004.2.21

小湊鉄道の要衝・上総牛久駅の朝。この駅を境に、五井側は自動閉塞、養老渓谷・上総中野側はスタフ閉塞と閉塞方式が異なっており、養老渓谷・上総中野方面への列車が入線すると、ご覧のように駅員がタブレットを持って走りまわる姿を見ることができる。運動靴を履き、階段をジャンプで駆け上がる元気な駅員さんの姿が爽やかだ。

「２月の空はスミレ色」
上総川間　Canon EOS1N HS　EF 300mm f4 L IS USM　RVP100　2004.2.21

春の訪れは空の色から始まるという。そう言えば、あとでこうして「写真」として見比べてみると、１月のものとは空の色がまるで違う。

上総三又駅近くで田んぼに張った氷を撮ったときは、寒さと暖かさの応酬が永遠に続くものかと思われたが、今ふと近くを見回すと、氷が張っている田んぼはもうどこにもない。春は静かに、しかし着実に力強いリズムを刻みはじめている。

「もうすぐ春　小さな踏切」
高滝〜里見　Canon EOS1N HS　EF 28-80mm f2.8-4 L USM　RVP100　2004.2.21

軽自動車が一台やっと通れるぐらいの細い農道の先に、いかにも小湊らしい小さなかわいい四種踏切がある。この場所は小湊鉄道で私が最も好きな場所のひとつだ。

ここ数日の陽気のせいか、踏切の向こう側の梅の樹が早くも満開になっていた。線路端の草も、２月末とは思えないほど青々としている。