2 第1章　空想の中の鉄道、再び　3/11 4

盛田牧場前〜七戸
Canon EOS 620　SIGMA 70-210mm f4-5.6 UC　RDP　1993.2

野辺地からの始発列車に乗り、盛田牧場前駅で降りたとき、この光景に出会った。前夜から降り続いていた雪は、レールバスに揺られているうちに止み、半ば雪に埋もれた木のプラットホームに降り立ったとき、ちょうど木立の向こうから朝日が射した。新雪を巻き上げながら走ってきたレールバスの顔も、八甲田おろしに夜通しなぶられ続けていた牧場の森の梢も、艶やかに雪化粧されていた。撮りたいと思っても、こういう写真は滅多なことでは撮れるものではない。神様が与えてくれた一瞬だったのかもしれない。

　

坪川〜道ノ上　Canon EOS 620　SIGMA 28-70mm f3.5-4.5 UC　RDP　1993.2

厳冬の「縦貫詣で」では、きれいな青空というものにはあまりお目にかかったことがない。いつもこんな空だったように記憶している。雲もまた地形と同じく、西から東へと流れてゆく。東に大きく傾いた電信柱。レールバスだけが、軽快なジョイント音を響かせて、南へ南へと走る。

　

中野　Canon EOS 620　SIGMA 28-70mm f3.5-4.5 UC　RDP　1993.2

八甲田おろしが通り過ぎると、駅標には文字が見えなくなるほどびっしりと新雪がこびりついていた。つかの間の青空がのぞくが、早くも西の地平は陰り始めている。もうひと吹雪来そうな気配だ。