「通学列車」

岩手刈屋

日曜カメラマンである限り、岩泉線の本当の姿を知ることなどできないのではないだろうか･････　夏期休暇の代休を頂戴して、平日の早朝にこの写真を撮ったとき、私はこれまで抱いてきた「岩泉線観」をひっくり返されるような衝撃を受けた。休日にはほとんど人気のない岩手刈屋駅に、列車が来る間際に現れた大勢の高校生たち。そして入線してきた列車もまた、高校生たちで埋め尽くされている。私が毎朝味わっている東京の"痛"勤ラッシュに比べればささやかで長閑なものだが、それでもこんなに大勢の子供たちによって岩泉線が日々の通学の足として使われていることに、私は感動を覚える。

岩泉線のことを「幾らかの観光客と空気ばかりを運んでいる鉄道」と思いこんでいる人は多い。が、本当に岩泉線を支えているのは、彼ら地元の利用者たちなのだ。

（船坂 晃弘）