第3章　大山塊に囲われた「鉄道情景の箱庭」　JR岩泉線

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第３章　大山塊に囲われた「鉄道情景の箱庭」

JR岩泉線（岩手県）

イーハトーブ岩手は「山の国」である。日本地図で岩手県を眺めてみると、県東部に広がる広大な山塊が否が応でも目に飛び込んでくる。四国全島とほぼ同じ大きさを誇る岩手県の、実に三分の二近くを占めるこの大山塊の中には、ほとんど平地らしい平地はない。川沿いにわずかに開けた土地に、まるで山に遠慮するかのように小さな集落がポツリポツリと現れるばかりである。そのまま東の方へ目を移してゆくと、山塊はそのままの姿で太平洋に迫り出し、断崖そびえ立つリアス式海岸となって荒波に洗われている。

「三陸」。この辺境の地に立つと、都会の喧噪はあまりに遠く感じられる。北上川沿いに開けた人口密集地帯との間には大山塊が横たわり、背後には広大な太平洋が広がる。まるで山と海に閉じこめられているようだ･･････　人口密度の希薄さ。そして峻険な地形ゆえの建設・維持費の高さ。純粋な旅客鉄道を運営してゆくにはあまりに過酷すぎるこの世界が、第3章の主人公「JR岩泉線」の舞台だ。

● 最後の"国鉄"ローカル線　岩泉線

JR岩泉線（以下「岩泉線」と略す）は、まさに「最後の"国鉄"ローカル線」である。国鉄末期からJR初期にかけて次々と廃止・転換されていった「特定地方交通線」（※1）の雰囲気を、これほどまでに色濃く残している鉄道を、私は他に知らない。人跡稀な山奥に分け入ってゆく行き止まりの盲腸線。極端に少ない運転本数。ワンマン化されていない旧型の気動車と、趣のある木造の古い駅舎。そして、息をのむような見事な四季の彩り･･････　「特定地方交通線」最初の廃線（北海道・国鉄白糠線　1983年10月廃止）以来「不採算路線は廃止やむなし」という暴論がほとんど「常識」となったうえに、さらに改正鉄道事業法（※2）の成立などによって不採算ローカル線の廃止に法的な歯止めが全く利かなくなってしまった「無法状態極まった」現代の日本で、JR岩泉線のような鉄道が世紀を越えて生き残っているということは、考えれば考えるほど奇跡のように思えてくる。

思わず「奇跡」という言葉が口をついて出てきてしまったが、まさに「奇跡」としか形容しようがない。なぜなら岩泉線は、何度も廃止や建設中止の危機に晒されながらも、まさしく首の皮一枚で繋がっているような状態でそれを乗りこえ、今日まで生き延びているからだ。しかもその危機は終わったわけではない。「最後の"国鉄"ローカル線」は、今もなお最も廃止が危惧されている崖っぷちのローカル線でもある。「こんな割の合わない線は一刻も早く廃止したい」というのが、国鉄時代から一貫したJRの本音であることは、もはや誰の目にも明らかだ。現にこの線の廃止の話題ははるか昭和40年代より幾度となくもち上がっては、立ち消えてきた。2003年1月現在、存廃論議は一時棚上げのような格好になっているが、JR側が決して「岩泉線廃止」を諦めたわけでもなければ、岩泉線の経営状況が好転したわけでもない。近い将来、この話題が何かのきっかけで再燃することは、火を見るより明らかである。

「申し訳程度に走らせておこう」と言わんばかりの貧弱なダイヤ（※3）で細々と命をつないでいる岩泉線に、なんとか活力を与える方策はないものだろうかと、私はいつも考えてしまう。しかし、岩泉線の置かれている状況を冷静に分析すればするほど、そのあまりに過酷な「八方塞がり」の状況には暗澹とならざるを得ない。上に掲げた岩泉線沿線周辺の地図を見ていただいただけでも、懸命な読者ならば即座にその理由を察することだろう。岩泉線の終着駅・岩泉は沿線随一の大きな町であり、この町と三陸第一の都市・宮古市を結ぶ意義は確かに大きい。が、大きな「く」の字を描いて山を越える岩泉線のルートは、この二つの町を結ぶメインルートと呼ぶにはあまりにも険しすぎ、遠回りすぎる。実際岩泉町中心部から宮古へ行くには、岩泉線に乗るよりも、バスで海岸沿いの街・小本へと出、三陸鉄道北リアス線に乗り換える方がはるかに早い。一方、岩泉から県庁所在地・盛岡（平成11年8月末現在、人口283,269人）へは、早坂高原・岩洞湖を経由する路線バスが、2時間20分程度で結んでいる。盛岡へのアクセスという場面でも、岩泉・山田線経由（茂市乗換）ではやはり遠回りすぎて、ダイレクトアクセスのバスには全く太刀打ちできない。せっかく北東北の名高い観光スポットの一つ「龍泉洞」が終着駅・岩泉から2kmほど離れた場所にあるというのに、宮古・盛岡どちらから見ても遠回りになるルート選定の悪さ、そして何よりも運転本数の少なさのために、岩泉線はその強みを全く生かすことができていない。現在の岩泉線を主に支えているのは、岩泉町の中心部から外れた浅内、大川（そして、県道大川松草線で更に奥に入った釜津田）付近と、新里村の刈屋川沿い（岩手和井内、中里、岩手刈屋）の人々の需要だけであると言っても過言ではない。いずれも数十、多くて数百戸程度の集落ばかり。一個の旅客鉄道を支えるには、あまりに脆弱な基盤だ。しかも、岩泉線の沿線は岩手県内でも特に過疎化が激しい地域で、将来の展望はあまりに暗い。

● 耐火粘土輸送用の「準軍事路線」として生を受ける

絶望的ともいうべき岩泉線の今の姿を見ていると、一体なぜこんな「使えない鉄道」を造ったのだろうという疑問がよぎる。しかし、岩泉線はもちろん最初から「使えない鉄道」だったわけではない。浮き世離れしたひなびたローカル線のイメージがつきまとう岩泉線だが、ひとたびこの鉄道に乗ってみると、人は多くの場面でそんなイメージを覆される。例えば岩手刈屋や岩手和井内のホームに立つと、かつての交換設備の有効長が、1両だけのディーゼルカーが行き来するだけのローカル線にはふさわしくないほど長大なことに気づくことだろう。岩手大川、浅内も、1日たった3往復のディーゼルカーしかやってこない駅にしては、あまりに構内が広すぎる。これらは、かつて岩泉線に長大な貨物列車が行き交い、多くの側線を擁していた名残に他ならない。

もっとも典型的なのは、サミットに程近い山間の小駅・押角駅だ。人里離れた谷底にぽつんと設けられた板張りの小さなプラットホームに降り立つと、なんで誰も乗り降りしなさそうなこんな辺鄙な場所に駅があるのか、不思議に思わない旅人はいないだろう。しかし、峠側の本線から右の方に分岐してゆく側線をずっとたどってゆくと、使われなくなったプラットホームの跡など「もうひとつの押角駅」の遺構が現れる。実は押角駅は、かつては加速線を備えた堂々たるＺ型スイッチバックの駅であり、岩泉線の主要な貨物であった耐火粘土の積み出し拠点であった。現在「和井内養鱒場」のあるあたりには、堂々たる木造駅舎を備えた二面のプラットホームがあり、C58型蒸気機関車が長大な貨車を牽引して発車してゆく光景が見られた。往年の岩泉線は、現在の姿からはちょっと想像できないような、堂々たる「貨物鉄道」の顔を見せていた時期があったのだ。

岩泉線、旧名「小本線」茂市～浅内間31kmが着工されたのは、昭和16年、日米開戦の年だ。この緊迫した状況下において「小本線」が着工された最大の理由は、小本川上流域（岩泉町小川付近）で採掘される耐火粘土（シャモット。製鉄所で使用する耐火煉瓦の原材料）の存在であった。優等列車は全廃され、娯楽目的の旅行は著しく制限され、不要不急の鉄道はレールさえも剥がされ製鉄原料として供出させられたという、日本の鉄道史上最悪の暗黒時代に、製鉄の過程で必要不可欠なこの耐火粘土を釜石の製鉄所へ輸送するための準軍事輸送路として、「小本線」はこの世に生を受けたのである。

着工の翌年、昭和17年6月には岩手和井内まで、その2年後の昭和19年7月には押角までが開業（ただし、当時は岩手和井内～押角間は貨物営業のみ）。しかし、峻険な押角峠が立ちはだかるその先の区間の工事は難航した。押角暫定開業の時代、耐火粘土は小川～浅内間は索道、浅内～押角間の峠越えルートはトラックで運ばれたという。現在でも自動車の行き違いが困難なほど道幅の狭い、断崖絶壁・葛折の続く国道340号線を、耐火粘土を満載したトラックが日に50余台も行き交ったという当時の様を想像すると、少々ぞっとする。「小本線」が時代の要請する「準軍事輸送路」として機能するためには、押角峠を貫く押角トンネル（2987m）の貫通（※4）は必須だった。しかし押角トンネルに最初の列車が走るのは、戦後の昭和22年12月。結局戦争中には間に合わなかった。

押角トンネル開業後、耐火粘土の積込設備は、押角から新たに貫通した押角トンネルの出口にある宇津野へと移され、峠の葛折をトラックのピストン輸送で越えた時代からは飛躍的に安全かつ効率的になった。が、工事はここでいったん中断された。この先大川（小本川支流）筋までの間には、宇津野沢の深く険しい渓谷が走り、「小本線」の行く手を遮っていた。昭和27年、宇津野～浅内間の工事が再開されたが、案の定この区間の工事もまた難航した。その苦闘のあとは、旧宇津野駅跡から岩手大川駅へと下ってゆく区間の尋常ならざる線形が巧みに語っている。押角トンネルをくぐって峠を下ってきた線路は、眼も眩むような断崖絶壁に張り付くようにして山肌を回り込み、巨大なオメガカーブを描いて麓との標高差を解消している。国道340号線が県道・大川松草線と交わる「大渡」という集落付近から、岩泉線の線路を見上げてみるとよい。よくぞこんなすごいところに線路を敷いたものだと、感動すら覚えることだろう。しかし、このような大まわりのルートをもってしても、この区間には25パーミルもの急勾配が連続するのだから、大変な標高差と言えよう。着工から5年後の昭和32年5月、「小本線」はついに浅内へ達した。

● 「鉄道史の妖怪」改正鉄道敷設法と岩泉線

さて、ここで少し時計の針を戻すことをお許し頂きたい。これまで述べてきたように、岩泉線（小本線）は「耐火粘土の輸送」という緊急の使命を負って誕生した。しかし、それだけではこの鉄道が誕生以来一貫して「国有鉄道」（現在はJR）の路線であり続けていること、耐火粘土の輸送という使命をとうに終えた今も細々とした旅客需要に頼って生きながらえていること、そして昭和47年には岩泉までの路線延長までも果たし、なおかつその先の小本までの路線延長が計画されていたことの説明がつかない。実は岩泉線の物語には、もう一つの重要な伏線が存在する。押角の天険と対峙する現場の労苦とは全く無縁なこの「もう一つの物語」のルーツは、遥か大正年間にまで遡る。

大正11年4月11日、日本の鉄道史上最も重要な、ひとつの法律が公布された。その名を法律第37号「鉄道敷設法」、俗に「改正鉄道敷設法」と言う。明治25年に公布された旧「鉄道敷設法」は、遅々として進まなかった日本各地の鉄道建設に業を煮やした政府が、国家に必要とされる鉄道を具体的に規定することによって、国家の強力なイニシアティブによる鉄道網の完成をもくろんで作られた法律であった。そして「改正鉄道敷設法」も、旧法と同様、「帝国ニ必要ナル鉄道ヲ完成スル為政府ノ敷設スヘキ予定鉄道線路ハ別表ニ掲クル所ニ依ル（第１条）」として、149路線（総延長約18000km）もの建設予定線を「別表」として提示していた。参考までに、平成14年12月1日（東北新幹線盛岡～八戸間開業時）のJR全線の総営業キロは19869.5km。日本の主要な幹線鉄道がほぼ完成していた大正11年の時点で、さらに18000kmもの路線をプラスするということがどういうことを意味するか、賢明な読者諸兄にはご想像いただけることと思う。事実、この「別表」に記された149の路線のほとんどは、急峻な地形のために膨大な建設費と労力を要する路線、そして採算性の乏しいローカル線ばかりであった。

日本の幹線鉄道網がほぼ完成に近づいていたと思われるこの大正11年という時期に、なぜこのような建設予算や採算性を顧みない無謀極まりない地方鉄道網の建設計画が唱えられたのか？　それを紐解くには、「改軌優先（改主建従）」か「建設優先（建主改従）」かという、当時の鉄道界を二分した政策論争を避けては通れない。ご存じのように、我が国の（新幹線や一部私鉄を除く）ほとんどの鉄道の軌間（ゲージサイズ）は、欧米の主流である1435mm（「標準軌」と呼ばれる。新幹線はこの軌間を採用）より狭い1067mm（「狭軌」と呼ばれる）を採用している。そのため輸送力やスピードアップの面で大きな制約があった。その上、国土の大半を急峻な山岳地帯が占めるという地理的な不利にもかかわらず建設を急いだため、幹線級の鉄道にも急勾配や急曲線が多数存在するという有り様であった。日露戦争後の重化学工業の発展による輸送密度の増大によって、鉄道におけるインフラの貧弱さを何とかしなければならないという声が、産業界を中心に徐々に高まりつつあった。新規の路線を建設するよりも既に建設された鉄道を「標準軌」に改軌し、欧米並のインフラを実現せよという「改主建従」のスローガンは、こうした時代趨勢から必然的に生まれてきた。しかし、時の最大政党・政友会は、この方針に対して真っ向から反発した。改軌は将来的には確かに必要ではあろうが、今はそれよりも地方鉄道の拡充を優先すべきだと言うのが彼らの主張であった。農村を主要な支持基盤としていた政友会にしてみれば、地方票の得票に直接結びつく地方鉄道の拡充というスローガンの方が当然旨味があるわけで、それこそ重化学工業など産業界からの要請による改軌論などがまかり通ってしまえば、かえって議席を減らしかねないという危惧もあったのかもしれない。結局この大論争は、大正7年の政友会内閣（首相は原敬）誕生によって「建主改従」派の勝利に終わる。そして「改正鉄道敷設法」こそは、まさに論争の勝利に酔った政友会政権による大風呂敷に他ならなかった。この法律がいかに実現性のないものであったかは、着工順位も着工時期も完成予定時期も全く記されていないことからも明らかだ。具体的な財源配分計画もない、まさに地方票欲しさだけの机上の建設計画であったと言えよう（※5）。しかし机上の建設計画とはいえ、「改正鉄道敷設法」はれっきとした「法律」である。しかもこの「改正鉄道敷設法」は、形骸化しながらもなんと昭和62年（※6）まで生き延びることとなる。この「法律」の存在と、それを裏付ける政友会流イデオロギーによって、日本の鉄道史は少しずつ歪んでゆく。まるで、下手な剪定によって、いびつな姿のまま成長してゆく樹のように･････

少々話が飛びすぎたようだ。我らの岩泉線に話を戻そう。岩泉線の前身「小本線」の原型となるような鉄道敷設計画も、実はこの「改正鉄道敷設法」の「別表」の中に明記されている。「別表」の第８項に「岩手県小鳥谷ヨリ葛巻ヲ経テ袰野付近ニ至ル鉄道及落合付近ヨリ分岐シテ茂市ニ至ル鉄道」という建設予定線が出てくるが、この後段の「落合（※7）付近ヨリ分岐シテ茂市ニ至ル鉄道」というのが、昭和32年に全通した茂市～浅内間に他ならない。つまり「小本線」の開業は、単に耐火粘土輸送という火急の需要によって建設されたというだけでなく、「改正鉄道敷設法」によってはるか大正年間に「建設が約束された」予定線を開業させたという意味合いを持っていたのだ。これでは耐火粘土輸送という鉄道存続の基盤とも言うべき需要が消えても、岩泉線を廃止させることはできない。国鉄線として建設・開業した経緯も説明がつく。

その上この「別表」第８項を巡っては、もう一つの難しい問題が絡んでくることになる。つまりその前段「小鳥谷ヨリ葛巻ヲ経テ袰野（※8）付近ニ至ル鉄道」の開業問題である。「落合」で既設の「小本線」と接続することになっているこの予定線のほとんどの区間は、「改正鉄道敷設法」に記された多くの計画線同様、机上の計画のみに終わったが、浅内まで鉄道が延びてきた以上は、落合（浅内）～袰野（小本）だけは既設の「小本線」の延長区間として開業させるべきだという主張が当然のように沸き起こった。実際「小本線」浅内開業のころから、「町の中心まで鉄道が来なければ意味がない」として、岩泉町では猛烈な鉄道建設運動が展開されたという（※9）。この鉄道建設運動の結果、昭和36年5月に浅内～小本間は調査線となり、翌年には工事線に格上げとなる。昭和40年代に入ると、国鉄の「赤字ローカル線問題」がじわじわと顕在化し始め、開業しても赤字必至のローカル線建設をこれ以上続けることへの風当たりも強くなる。しかし、「小本線」延長にストップはかからなかった。昭和43年には日本鉄道建設公団（※10）の手によって浅内～岩泉間が着工され、昭和47年2月、浅内～岩泉間が開業、「小本線」は「岩泉線」と改称され現在の姿となる。ただ岩泉から先、小本までの延長工事は、昭和50年に杭打ち式が行われたが、さすがにこれ以上は進まなかった。昭和54年、工事凍結。以来現在に至るまで、小本への延長工事は再開されていない。

● 忍び寄る衰退の影･････それでも鉄路は残った

こうした景気の良い延長開業の陰で、岩泉線には徐々に衰退の陰が忍び寄ってくる。路線の収入を支えた貨物輸送は、昭和38年に貨客分離ダイヤとなった時点で、既に2往復。しかしその2往復も、貨物量の減少で運休が多くなり、昭和57年には全廃される。旅客営業も、岩泉延長時点では観光客の増加などから一時的に増えたが、昭和50年頃からは毎年低落の一途をたどっていった。昭和52～54年度に、「特定地方交通線」選定のため、全国のローカル線で平均乗車密度が調査されたが、岩泉線は667人／日で、案の定第二次特定地方交通線に選定されてしまった。

昭和55年ごろから岩泉線の存続と小本延長工事再開の決起大会などを開いてきた沿線と岩手県は、これに強く反発。併走する国道340号線が未整備でバス転換は不可能として、廃止申請を取り下げるよう求めた。彼らは熱心だった。昭和57年12月には岩手県と新里村・岩泉町が国鉄バスをチャーターして、国道340号が代替道路たりうるか試走を実施。この試走の様子は翌日の岩手日報に掲載され、大きな話題を呼んだ。昭和58年3月には、岩手県が併走する国道340号線が未整備でバス転換は不可能とする意見書を提出。その後、運輸省も国道340号線の現地調査を実施。昭和59年には、第二次線33線の内、岩泉線を含む6線を承認保留とした。この決定を存続へ結びつけようと、沿線住民はねばり強い陳情運動を展開。その結果、昭和60年、運輸省は前述の6線の中から、岩泉線と三重県の名松線の2線のみ廃止承認申請を取り下げた。「特定地方交通線」として多くの赤字ローカル線が討ち死にしてゆく中、岩泉線だけは国鉄線として奇跡的に生き残った･･････

以来18年の月日が流れた。国鉄分割民営化後も、生き残った多くのローカル線が消えていった。しかし岩泉線だけは、この18年間、車輌すら変わることなく、昔と同じように黙々と走り続けている。もちろん前述のように経営が好転したわけではない。「危機」は何度かあった。平成7年、国鉄の後を受けて新たに岩泉線の経営母体となったJR東日本盛岡支社が、岩泉線沿線の町村長に対して、岩泉線の今後のあり方を考える「勉強会」について口頭で申し入れた。沿線自治体はこれを「廃止通告」として受けとめ、再び緊張が走った。更に、これは岩泉線の「本線」に当たる山田線の廃止論議にも飛び火するのではないかという見方も広がり、同年10月には「宮古広域圏鉄道対策協議会」が設立され、関係市町村が一体となってこの問題に取り組む方針を決定。JR側にもダイヤ改善やスピードアップの要望書を提出するとともに、「勉強会」のテーブルにつくことに同意した。翌平成8年末にはJRの側も地元に対して第三セクター案を提案するなどの動きを見せたが、しかしその後はこれといった進展もなく、21世紀を迎えた今も不気味な沈黙が続いている。

JR岩泉線、茂市～岩泉間38.4km。線路を見おろす断崖の上に立つと、併走する道路が整備されていないせいか、まるで時代に忘れられたかのような風景が細長い箱庭のように連なっている。我々は一体いつまで、こんな奇跡のような鉄道情景を見ることができるのだろうか？　岩泉線を取り巻く状況を、どのような形で軟着陸させることが最も好ましいのか、私には分からない。だが、ここには日本の他の鉄道からはとうに消え失せてしまった素晴らしい何かがある。おそらく日本中どこを探しても「ここにしかない」素晴らしい何かが。それゆえに岩泉線は、今最も魅力的な鉄道なのだと思う。愚直に通い続け、その素晴らしい何かを記録し続けることによって、八方塞がりの岩泉線の将来に一縷の光明を見いだしたい･･････　そんな途方もないことを夢想しながら、私は今もこの鉄道にカメラを向け続けている。

（上）岩泉線と併走する国道340号線（押角付近）
両側は断崖絶壁と川。道幅は車が一台やっと通れる程度である。

（右）押角駅の入り口
片側に手すりがないこの木の橋を渡らねば、駅にたどり着けない。

(執筆　2003年9月1日)

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昭和55年12月に施行された「国鉄再建特別措置法」によって指定された、極端な不採算ローカル線のこと。この概念自体が、国鉄経営の足をひっぱる赤字ローカル線をリスト化し、法律を背景に廃止させるためのものであったことは言うまでもない。しかし、「営業係数」と称する怪しげな算定方法を用いたことや、「線名」単位で機械的に選定を行ったことなど、その方法論には多いに問題があった。そして何よりも、「特定地方交通線（鉄道）はバスによって充分代替できる」という誤った前提に立った施策であった。

「赤字ローカル線はバスによって代替すればよい」という論は、ついに転換バスまでもが廃止に追い込まれた九州の旧・山野線（水俣～栗野間）等の例を出すまでもなく、究極的には「公共交通不要論」、あるいは「公共交通絶滅容認論」へと繋がってゆく、地域無視・利用者無視の暴論である。「特定地方交通線」の中には、鉄道として存続することのメリットを完全に喪失した路線があったことは、私も否定しない。が、これほどまでに大規模なローカル線の廃止転換計画を立ちあげるならば、当然、生活に不可欠な鉄道を失う利用者と地域の「移動の自由」に対して最終的な責任を持つべき「永続的な交通（サスティナブル・トランスポーテーション）」構築へのビジョンが必要不可欠であった。だが、政府自民党も、運輸省にも、当時の「国鉄再建」のブレーンとなったあらゆる学識者にも、そのようなビジョンは一切なかった。そして、「特定地方交通線」をいかに速やかに、一線たりとも余すことなく処分するかという官僚的な手腕ばかりが際だっていた。

最初の廃止路線となった白糠線廃止からわずか7年５ヶ月、国鉄再建特別措置法成立から9年４カ月後の平成2年3月末。宮津線、大社線、鍛冶屋線の廃止によって、「特定地方交通線」全83路線3157.2kmの処分が、政府の思惑通りに完了した。

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「改正鉄道事業法」。平成12年3月1日より施行。「規制緩和」の一環として、鉄道事業への新規参入・退出規制の原則廃止や運賃・料金規制の緩和、乗り継ぎ円滑化措置などを盛り込む･･････と書くと、「なるほど」と頷いてしまう人もいるかもしれないが、それはちょっと待っていただきたい。注目して欲しいのは「退出規制の原則廃止」の項。すなわち「鉄道を廃止するさいの取り決め」についてである。

従来、鉄道線を廃止する場合には、地元自治体の合意を必要とした。ところがこの「改正鉄道事業法」では、鉄道事業者は原則1年前に運輸大臣（当時。現在は国土交通大臣）に届けるだけで廃止することが可能とされた。つまり鉄道線の廃止は、この法律によって実質「許可制」から「届出制」になり、（法的には）地元の意向を無視して事業者の事情で勝手に廃止できるように変わったわけである。この「改正」が持つ意味は極めて大きい。

そもそも旅客鉄道事業とは、単なる「運輸業」ではない。第０章で私は「（鉄道とは）一個のテクノロジーというよりは、（中略）人々が呼吸する空気のようなもの」と書いたが、利用者にとって鉄道はなくてはならない生活の一部であり、その鉄道をなくすということは、利用者の生活に重大な支障を与えるということである。「公共交通機関」である鉄道を運営する者には、たとえ「私企業」であろうと、お客様の生活を縁の下で支えているという道義的な責任があるはずだ。これは鉄道だけでない。「縁の下で生活を支えている」という意味では、食品産業だってそうだし、銀行だってそうである。現にそのルールを（非常に悪質な形で）破った（例えば近年食肉偽装事件を起こした某大手食品業者や、システムトラブルで二重引き落としなどの未曾有の混乱を招いた某大手銀行のような）者には、断固とした厳しい制裁が課せられてしかるべきである。某大手銀行の社長がシステムトラブル事件の国会での釈明の場面で「実害はなかった」などと口を滑らせ、議員から怒号が飛ぶという場面があったが、全くもって「実害はなかった」などで済まされる問題ではない。

ところがこんな「あたりまえのルール」が、鉄道業界では通用しないらしい。いくら少数とは言っても、その鉄道を頼みに生活している人々から事業者の都合で鉄道を奪ってしまったら一体どういうことになるのか？　しかも代替交通手段についての検討のいとまも与えないような強引な手法で。「改正鉄道事業法」の背景に見え隠れするのは、鉄道事業を単なる「ビジネスの一手段」としか見ない、極めて了見の狭いモノの考え方である。ここでは鉄道が「公共交通機関」であることなど全く忘れ去られている。

この法を作り成立させた罪深い閣僚・議員たちは、自らの見識のなさを猛省すべきである。

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岩泉線の列車本数は、区間列車（茂市～岩手和井内）を含めて1日わずか4往復。サミットの押角峠を越えて終着の岩泉までゆく列車は、1日3往復に過ぎない。現在は貨物列車は設定されていないので、午前中に茂市～岩手和井内を1往復、茂市～岩泉を1往復してしまうと、あとは午後最初の列車が茂市を15時30分に発車するまで、なんと6時間35分もの間、岩泉線のレールの上を走る列車は1本もない（※平成13年4月20日改正のダイヤによる。臨時列車、事業用列車等は除く）。純粋な旅客鉄道とは到底思えない、信じがたいダイヤである。ローカル線の通弊として昼間の時間帯の利用が少ないということ考慮に入れたとしても、朝に2往復（うち1往復が区間列車）、夕方から夜にかけて2往復では、あまりに少なすぎる。

その上、岩泉線には列車交換ができる駅は一つもなく、全線38.4kmがたったの一閉塞。しかも行き止まりの盲腸線なので、往復76.4kmもの長距離を行って戻ってくる間に、他の列車が続行して進入することすらできず、朝夕の増発もままならない。現に朝夕の時間帯には、宮古～茂市～和井内（清水）間には岩手県北バスが2往復、岩手大川～岩泉間には岩泉自動車運輸のバスが1往復、不便すぎる鉄道のダイヤを補うかのように設定されている。ほとんど「利用が少ないから本数が増やせない」以前の問題である。

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『鉄道建設物語　盛岡工事局60年のあゆみ』（編集・発行　日本国有鉄道盛岡工事局　1978年6月）によると、小本線・押角トンネルはなんと一部が素掘りの状態のまま開業したようだ。当時の興味深い証言を二つ紹介しよう。

「敗戦直後、米軍の管轄となる直前に、海軍の大湊要港部より、盛岡地方施設部も大量の物資を受領することになり、私（副長）は代表として時の宇垣司令長官（海南海軍参謀長　当時より既知）に面接し、日本の将来等の話を伺った後、多くの物資を受領し列車輸送を行った。その時その中に海軍も処理に困っていた四十屯の爆薬があり、私は先の経緯もあったためであろう、そのダイナマイトと電気雷管も一緒に受領して小本線に運んでしまった。以降本省に対し火薬が腐ってしまう、処理に困るの一辺倒で工事を継続させて貰った。即ちすべてはこの火薬のためであった。しかしセメントはないので大半素掘のままで二十一年秋掘削を完了した。隧道の地質は良好な硬質砂岩が主で素掘のままでも開業できると考え、本省にもこの旨上申した。隧道の検査と素掘開業の可否判定のため、本省より時の渡辺和夫鉄道官が派遣された。私は前以て現場の佐藤区長に竹棹にダイナマイトを数発吊って何時でも爆破できるように準備し、これを素掘区間に二、三箇所配置しておき、爆破の衝撃でも大丈夫、ましてや列車の通過位では何の心配もないことを見て貰うつもりで渡辺鉄道官を案内した。その結果開業に支障なしと判定された。」（上原要三郎氏）

「終戦の時大湊からダイナマイトを大量に持ってきたので、その後も工事を小部分に区切って発注して工事を続け、側壁が隧道延長の十三％拱が三三％捲立てただけで押角までの竣工祝いをした。この時の初列車は工事用のり車四輌連結して筵を敷き、招待のお客に坐って貰い、工事用機関車で牽引したが、何しろ隧道が大部分素掘りであり、所々で地下水が漏れておるので、その度毎に水をかぶり、お客様が悲鳴をあげる始末で、終戦後とはいえ前代未聞の竣工祝の試運転列車であった。当時国鉄内でも労働組合の勢力が強く、完全に捲立てない隧道は危険だからと管理局側が受け取りを拒み通したが、紆余曲折の末、宇津野駅まで開業、貨物の輸送を開始した。その後も線路を閉塞しながら隧道の捲立て工事が施行されたが、毎日初列車の通過前工事区員が隧道内を巡視し、列車の安全確保につとめた。保線区の線路班からも一名巡回に出て、拳大にも満たない石が落ちておっても、また落盤などと大きく報道されたものであった。」（佐藤五禄氏）

まさに、その後の岩泉線の運命を決めたダイナマイトであった。

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昭和62年は「日本国有鉄道改革法」、つまり国鉄分割民営化を定めた法律が公布された年である。大正年間の「建主改従」政策の矛盾は、高度経済成長が頂点に達した昭和30～40年代に入ると一気に吹き出した。幹線級の鉄道は慢性的な輸送力不足に悩まされ、いくら投資しても経済の急激な成長に伴う輸送力需要の増大に対応することができない状況が続いていた。その一方で、モータリゼーションの波によって鉄道貨物のシェアは激減し、ローカル線の経営は危機的な状況に陥っていった。国鉄の経営は、東海道新幹線が開業した昭和39年度にはじめて赤字を出し、その後は坂道を転げ落ちるように累積赤字が膨れ上がってゆくことになる。つまり当時の国鉄は、赤字経営の中で幹線への輸送力増強のために積極的に投資しなければならないというジレンマに陥っていたのである。大正年間に「改主建従」政策が採られていれば、このようなジレンマが生じることもなく、当然極端な採算割れのローカル線もなく、黒字線から赤字線への過度の内部補助という問題も生じず、そして「整備新幹線」という名の（既存の鉄道システムと全く互換性を持たない）新しい鉄道システムが既存の鉄道システムを食うという情けない状況も生じず、既存のインフラを生かした健全な鉄道経営が実現していたはずである。結局この「鉄道史の妖怪」（所澤秀樹氏は著書『鉄道地図の謎』のなかで「改正鉄道敷設法」のことをこのように評している。実に見事な例えである）は、実に60余年に渡って祟り続け、国鉄を、いや日本の鉄道界をカタストロフィ（必然的破局）に追い込んだと言えよう。

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ちなみに旧「鉄道敷設法」では、幹線鉄道建設予定線が明文化されただけでなく、当面建設すべき予定線を特定した上、その建設財源措置についてもきちんと定められていた。「改正鉄道敷設法」当時と違い、旧「鉄道敷設法」の時代は日本鉄道（現在の東北本線など東日本の幹線級鉄道を傘下におさめる）や九州鉄道（九州のほとんどの鉄道を傘下におさめる）等の大私鉄が乱立しており、はじめて国家による鉄道政策への強いイニシアティブを明らかにし、その後の鉄道国有化への道筋を作ったという点で、その使命を充分に達成したと言ってよいだろう。

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現在の国道340号線と国道455号線が合流する付近の集落で、「小本線」の終着駅・浅内から約1kmほど岩泉寄りにある。この文面では「浅内」と読み替えてほぼ差し支えないだろう。

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岩泉と小本との中間付近にある集落で、ここで三陸沿岸ルートを南北に走る計画線（現在の三陸鉄道に相当する）と接続することになっていた。前掲の地図参照。結局三陸鉄道として開業した沿岸ルートの計画線は袰野を通らなかったので、茂市→浅内→岩泉と伸びていた路線の最終目的地も、自動的に袰野ではなく小本ということになった。この文面では「小本」と読み替えてほぼ差し支えないだろう。

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無駄だらけの公共事業に対して批判的な風潮が高まりつつある現代の感覚で、当時の岩泉町の人々の猛烈な鉄道建設運動を「我田引鉄」と呼ばわる者もいるようだが、私はそれは筋違いだと思う。地域エゴが存在することは、ごく当たり前のことであって、それ自体を悪と非難するのは誤りである。問題なのは、地域エゴを代弁したり利用したりする政治家は多けれど、そこから超然として「国策」の立場から地域エゴを調整できる政治家が（特に戦後において）あまりに少なすぎたということである。こと岩泉線に関しては、「改正鉄道敷設法　別表第８項」という鉄道建設の大義名分があったことを忘れてはならない。

戦後「国策」の立場から各界のエゴを調整できる政治家が育たなかったことについて、「戦後」という時代の通奏低音ともいうべき「国家意識の欠如」を感じてしまうのは、深読みしすぎだろうか？

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国鉄単独では遅々として進まなかった国鉄の新線建設に当たらせるため、昭和39年3月に国と旧国鉄が共同出資して設立した特殊法人。しかし、総合交通体系の国策レベルでのビジョンを欠いた状態で「新線建設」を「経営」を分離させたことは、結果として「鉄道史の妖怪」改正鉄道敷設法を延命させることにしかならなかった。開業しても不採算必至のローカル新線に膨大な建設費が投じられ、「税金の無駄遣い」という囂々たる非難をよそに建設が続けられた。立派なコンクリート製の高架橋や長大なトンネルを完成させながら、ついに一度も使用されることなく山野に打ち捨てられた北海道の名羽線や佐賀県の呼子線。何とか開業に漕ぎ着けたものの、「特定地方交通線」にリストアップされ、わずか10数年足らずで廃止されてしまった北海道の白糠線（上茶路～北進間）や鹿児島県の大隅線（海潟温泉～国分間）。このような事例は枚挙にいとまがない。

●参考文献

「鉄道ジャーナル1997年　12月号」
　　「ローカル線の現状と問題を現地に見る63　岩泉線」（文・鈴木文彦）

「鉄道ジャーナル1983年　12月号」
　　「特定地方交通線の実態と問題を現地に見る27　岩泉線」（文・青木栄一）

「鉄道ピクトリアル1981年　10月号」
　　「改正鉄道敷設法制定の前後」（加藤新一）

高橋善三郎『東北の鉄道』『同・資料編』発行　高橋ハルエ　1998年3月

『鉄道建設物語　盛岡工事局60年のあゆみ』　編集・発行　日本国有鉄道盛岡工事局　1978年6月

原田勝正『日本の国鉄』岩波新書　1984年2月

所澤秀樹『鉄道地図の謎　路線図に隠された鉄道の憂鬱』山海堂　2002年2月

上岡直見『乗客が書いた交通論　永続的な交通（サステナブル・トランスポーテーション）を求めて』北斗出版　1994年4月

香川正俊『第３セクター鉄道』成山堂書店　2000年6月

　

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第３章 大山塊に囲われた「鉄道情景の箱庭」

JR岩泉線（岩手県）

● 最後の"国鉄"ローカル線 岩泉線

● 耐火粘土輸送用の「準軍事路線」として生を受ける

● 「鉄道史の妖怪」改正鉄道敷設法と岩泉線

● 忍び寄る衰退の影･････それでも鉄路は残った

●参考文献

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